著作権に関する登録・相談

目次

著作権とは

まず大切なことは、著作権は作品を創作した瞬間に自動的に発生するということです。
小説を書いた、楽曲を作曲した、絵を描いた、プログラムを開発した—これらの創作活動を行った時点で、何の手続きも必要なく著作権が発生します。
著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しており、この定義に当てはまる作品には自動的に著作権が付与されます。

著作権と著作物に関しては以下の記事もご覧ください。

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では、なぜ文化庁への登録制度があるのでしょうか?

著作権が自動的に発生するなら、なぜわざわざ登録する必要があるのでしょうか。それは、法的な証明力を高めるためです。

登録することの3つの大きなメリット

1. 著作者であることの証明が簡単になる
「この作品は私が作りました」と主張するとき、登録していれば公的な証明があるため、相手に納得してもらいやすくなります。

2. 創作時期や公表時期を明確に証明できる
後から「どちらが先に作ったか」で争いになった場合、登録年月日が客観的な証拠となります。

3. 権利関係を第三者に対して明確にできる
著作権を譲渡したり、担保に入れたりする場合、登録により権利関係が明確になります。

文化庁の登録制度について

文化庁に対して、著作権に関する以下の登録を申請することができます。
※プログラムの著作物に関する登録は、「一般財団法人ソフトウェア情報センター」に対して申請します。

登録の種類登録の内容及びその効果申請できる者
実名の登録(法第75 条)ペンネームや芸名で活動している方が、本名での著作者登録を行えます。

[効果]登録を受けた者が、当該著作物の著作者と推定されます。その結果、著作権の保護期間が公表後70 年間 だったものが、実名で公表された著作物と同じように著作者の死後70 年間となります。
・無名又は変名で公表した著作物の著作者

・著作者が遺言で指定する者
第一発行年月日等の登録(法第76 条)作品がいつ最初に発表・公表されたかを公的に記録できます。

[効果]反証がない限り、登録されている日にその著作物が最初に発行または公表されたものと推定されます。
・著作権者

・無名又は変名の著作物の発行者
創作年月日の登録(法第76 条の2)プログラムの著作物の著作者は、そのプログラムの著作物が創作された年月日の登録を受けることができます。

[効果]反証がない限り、登録されている日にそのプログラムの著作物が創作されたものと推定されます。
・著作者
著作権・著作隣接権の移転等の登録(法第77 条)著作権もしくは著作隣接権の譲渡、または著作権もしくは著作隣接権を目的とする質権の設定等があった場合、登録権利者及び登録義務者は著作権又は著作隣接権の登録を受けることができます。

[効果]権利の変動に関して、登録することにより第三者に対抗することができます。
・登録権利者及び登録義務者
(原則として共同申請だが、登録権利者の単独申請も可)
出版権の設定等の登録
(法第88 条)
出版権の設定・移転、または出版権を目的とする質権の設定等があった場合、登録権利者及び登録義務者は出版権の登録を受けることができます。

[効果]権利の変動に関して、登録することにより第三者に対抗することができます。
・登録権利者及び登録義務者
(原則として共同申請だが、登録権利者の単独申請も可)

第三者への対抗要件とは

「この権利は私のものです」と第三者に対して堂々と主張できる条件のことを言います。

例えば、作曲家のAさんが作った楽曲の著作権を、レコード会社のB社に譲渡したとします
・AさんがB社に著作権を譲渡(契約書も交わした)が、移転登録は行わなかった
・その後、Aさんが同じ楽曲の著作権を別のレコード会社のC社にも譲渡してしまった
・C社は譲渡を受けた後、すぐに移転登録を行った

この場合、実際に先に譲渡を受けたのはB社であるにも関わらず、先に移転登録を行ったC社の方が第三者(B社とC社は直接利害関係の立場にない)に対して「この著作権は当社のものだ」と主張できることになります。
不動産の登記と同じような考え方です。

著作権侵害には重いペナルティがあります

著作権法では以下のような罰則が定められています。

・著作権(出版権又は著作隣接権)の侵害(第119条)
 個人の場合:懲役10年以下または1,000万円以下の罰金、またはそのどちらもが課される場合もあります。
 法人の場合:3億円以下の罰金

その他にも罰則が定められています。
また、著作権を侵害した相手からの損害賠償請求等を受ける可能性があり、著作権の侵害には重いペナルティがあります

クリエイター支援の専門家としてサポートします

当事務所では、音楽制作の経験を持つ行政書士として、創作活動を行う皆様の権利保護をサポートしています。
・「著作権を譲渡する契約を結びたい」
・「ある著作者から譲渡された著作物が自分のものであると主張したい場合、どうすればいいか」
・「共同制作した作品の権利関係を明確にしたい」

創作活動に専念できるよう、法的な手続きは専門家にお任せください。わかりやすい説明と丁寧なサポートを心がけています。

著作権や知的財産に関する契約書の作成は、契約書作成のページをご覧ください。

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報酬および手数料

著作権に関する登録

別途登録費用(登録免許税)が必要です。登録先は文化庁となります。

業務内容報酬額手数料(登録免許税)
著作権(著作隣接権)の移転の登録33,000円1件につき 18,000 円(著作権)
1件につき 9,000 円(著作隣接権)
質権の設定44,000円債権金額の1,000 分の4
質権の移転の登録22,000円1件または1個につき3,000円
無名著作物又は変名著作物の著作者の実名登録22,000円1個につき 9,000 円
第一発行(または公表・創作)年月日の登録22,000円1件または1個につき3,000円
抹消した登録の回復・更正・変更の登録22,000円1件または1個につき1,000円
登録の抹消22,000円1件または1個につき1,000円
出版権の設定または移転の登録33,000円1件につき30,000円(設定)
1件につき18,000円(移転)
著作権登録原簿等登録事項記載書類の交付5,500円1通につき 1,600 円
著作権登録原簿等の附属書類の写しの交付5,500円1通につき 1,100 円
著作権登録原簿等の附属書類の閲覧5,500円1件につき 1,050 円

プログラム著作物・ライセンスに関する登録

別途登録費用(登録手数料+登録免許税)が必要です。登録先は一般財団法人ソフトウェア情報センターとなります。

業務内容報酬額登録手数料 登録免許税
創作年月日の登録22,000円47,100円1件または1個につき3,000 円
第一発行(公表)年月日の登録 22,000円47,100 円 3,000 円
実名の登録33,000円47,100 円 1個につき9,000 円
著作権譲渡の登録33,000円47,100 円 1件につき18,000 円
質権設定の登録 44,000円47,100 円債権金額の1,000 分の4
登録事項記載書類の交付5,500円1通につき2,400円なし

ご注意(ご依頼前にお読みください)

・登録免許税・登録手数料は報酬とは別に実費としていただきます
・原則として報酬の半額と実費の全額を着手金としていただきます
(事前にお見積りを交付し、お客様にご了承を頂いてから着手いたします)
長浜市および米原市以外のお客様につきまして対面でのご相談の場合、別途出張費を頂戴いたします
(ZOOM・メール等オンラインでのご相談・打合せにつきましては出張費用は発生いたしません)
・文化庁等への申請書類が当方の責任により不受理となった場合は着手金を返還いたしますが、お客様のご都合による申請取り下げや、虚偽の情報提供があった場合など、当事務所の責によらない理由での不採択の場合は、実際にかかった作業時間に応じて費用をご請求させていただく場合があります
行政書士は既に他方と紛争状態にある状況を解決する業務(相談)や個別具体的な法律相談を行うことができません。これから争いに発展する可能性がある場合も含めて、そのようなケースは弁護士にご相談ください

著作権に関する疑問や登録のご相談は、まずはお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。
創作活動を続ける皆様の権利をしっかりと守るお手伝いをさせていただきます。

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