著作権の他に「特許」や「商標」という言葉をニュースで見聞きした方は多いと思います。
これらの権利は、性質も保護の対象も大きく異なります。
著作権と特許権の最も大きな違いは、保護対象と権利の発生時期です。
著作権は作品が創作された瞬間から自動的に発生しますが、特許権は特許庁への出願と審査を経て初めて権利が発生します。
著作権 | 特許権 | |
---|---|---|
保護の対象 | 著作物(創作物) | 発明(アイデア) |
保護の要件 | 創作性 | 新規性、進歩性、 産業上利用可能性 |
権利の発生要件 | 創作:無方式主義 | 登録:方式主義 |
権利の性質 | 相対的独占権 | 絶対的独占権(先願主義) |
保護期間 | 原則、死後70年 | 原則、出願から20年 |
管轄庁 | 文化庁(文部科学省) | 特許庁(経済産業省) |
管轄庁への登録手続等(独占業務) | 行政書士 | 弁理士 |
大きな違いは赤字で記述したところになります。
特許権で発明(アイデア)を保護するということは、逆に言うと著作権ではアイデア自体は保護の対象にならないことになります。
さらに重要な違いとして、同じものが生み出された場合の扱いが挙げられます。
著作権では、たとえ偶然に同じような作品が別々の作者によって作られても、それぞれに権利が認められます。
一方、特許権は先に出願した人のみに独占的な権利が与えられます。
権利の目的(各法の第一条に規定)
特許権と著作権の範囲の違い
スマートフォンの場合
- 特許権:画面をタッチして操作する技術、指紋認証の仕組みなど
- 著作権:搭載されているアプリのプログラム、壁紙のデザインなど
料理の場合
- 特許権:新しい調理方法や保存方法(例:冷凍食品の製造方法)
- 著作権:料理の写真やレシピの文章表現(ただし、レシピ自体のアイデアは保護対象外)
複数の知的財産権が設定されている例
例えば、任天堂の「Nintendo Switch」は、ゲーム機本体の構造や液晶画面の技術は特許権、ゲームのキャラクターや音楽は著作権、「Nintendo Switch」というロゴや名称は商標権、本体のデザインは意匠権で保護されています。
この一つの製品に、様々な知的財産権が組み合わさっているのです。
引用元:https://www.nintendo.com/jp/hardware/switch/compare/index.html 任天堂ホームページ “Nintendo Switch 有機ELモデル”