はじめに
先週の11月10日に令和6年度行政書士試験が行われました。
受験された方は長きにわたる戦い、お疲れ様でした。
私は令和3年度の行政書士試験で不合格となり、令和4年度に合格することができました。
現在も毎年の試験後にどのような問題が出題されたのか傾向などをチェックしています。
合格のカギはやはり行政法
最近ではYouTubeやSNSで学習状況や自己採点の結果を発信されている方も多く見受けられます。
そうした自己採点状況を拝見すると、惜しくも合格点に届かなかった方々に共通しているのが、行政法の点数が不足しているということでした。
私が拝見した受験生の方は、民法、商法、基礎法学など対策が難しい科目である程度の点数を取られていましたので、行政法を伸ばすことで充分に合格が見えてくると思います。
300点中112点の配点がある行政法は、100点の得点を目指すつもりで勉強することをお勧めします。
学習時間の配分の見直しと結果
実際、私が1年目に148点で不合格になった最大の要因も、行政法の点数不足でした。
記述問題の点数は3問の合計でしか知ることが出来ないのですが、おそらく1年目の行政法の記述は8点、民法は0点だったと推測しました。
記述で点が取れていないのは、やはり根本的な理解不足だったということを実感しました。
2年目に向けての検証と長期計画は以下のように立てました。
一応、1年目よりも更に勉強していたはずの2年目の商法・会社法はなんと0点でしたが、それでも合格することはできました。
商法・会社法は取れて2問、よほど得意な人でも3問が限界だと思います。
それよりも行政法の記述で20点近くを取ることの方が、はるかに現実的な戦略になります。
民法も記述の点数は取れましたが、択一問題の点数は1年目と変わっておらず、ほぼ正答不能な問題は毎年のように出題されるということが分かります。
一般知識も前年度より1問正解が減っており、8~10問正解できれば御の字だと言えるでしょう。
宅建試験との比較
私は宅建の合格後に行政書士試験に挑戦しました。
行政書士試験は宅建の3~4倍くらいの勉強時間が必要ですが、宅建業法から行政法への難易度の差が、そのまま試験全体の難易度差になっていると感じます。
宅建試験では、20問出題される宅建業法はもはや満点を取るつもりで勉強することが必須となっており、奇問・難問で1~2問やむなく落とすのが最低ラインです。
宅建試験の民法は行政書士試験のものと難易度はさほど変わらず、初学者では半分程度の正解がいいところです。
その他の税法などの分野も難問が出るため、全問正解は難しいです。
そのため、いかに宅建業法を取りこぼさないかがとても重要になります。
行政法攻略のコツ
行政法は確かに宅建業法に比べると取っつきづらく、最初の学習は苦しいものがあります。
しかし、試験で問われる意図は宅建業法とそう変わるものではなく、出題者の意図(似たような手続きや概念を出題させて引っ掛けようとするなど)を理解できれば合格も近づいてきます。
私の場合、2年目では行政法で96点を獲得できました。
記述試験については行政法で20点、民法で26点だったのではないかと推測しています。
行政書士試験では「暗記だけではだめで、概念を理解して解くことが必要」とよく言われますが、憲法・民法・基礎知識は、まず法的概念をしっかり理解した上で、実務的な思考で対応することが求められます。
一方、行政法と商法・会社法は、出題者の意図を理解し、条文や知識をその問いに当てはめていく形になりますが、これは従来の暗記型の試験に近く、とにかく問題を解くというアウトプットの量が必要です。
ただし、会社法は条文が膨大で学習効率が悪いため、まずは行政法の問題を解くのに時間を使うことを強くお勧めします。
記述問題について
最近3年間の行政法記述問題を見ると、「誰を被告として、どのような訴訟を提起するか」という行訴法からの出題が続いています。
行政法の知識が固まってくれば、正答するのに必要な知識自体はそれほど難しいものではないことが分かります。
ただ、試験本番特有の焦りや、見たこともない長文で正常な判断力が失われるということに苦しめられます。
民法は2問中1問は難しい問題が出題されることが多いですが、「誰に対して、どういう制度(概念)を使って、その問題が解決できるのか、できないのか」という問いが多いため、完答が難しくても部分点で食らいつくことが重要です。
記述問題は受験者の合格率を調整するために毎年採点基準が変わるというのが定説です。
運の要素も絡んでくると思いますが、最低ラインとして20~24点程度は目指したいところです。
記述対策は試験1~2ヶ月前から始めれば十分だと思います。
「40文字前後の枠内にどう文章をはめ込むか」の練習なので、それほど多くの時間を割く必要はありません。
元々択一問題が解ける知識があることが前提になりますので、記述問題の過去問や予想問題をたくさん解いてもあまり意味はありません。
なお、具体的な試験対策については、引き続き別の記事でも詳しく解説していく予定です。
ぜひご参照ください。