基礎知識の構成と重要性
行政書士試験の「基礎知識」区分では、14題(計56点)が出題されます。
令和6年度から「一般知識」の名称から変更になり、新たに行政書士法から1題が出題されるようになりました。
その他の内容は従来通りで、政治・社会・経済・情報通信・その他の法令(個人情報保護法など)・文章理解から出題されます。
基礎知識には足切りラインがあり、6題(24点)以上正解できなければ、他の科目の点数がどれだけ高くても不合格となります。
文章理解の問題が重要
文章理解問題は基礎知識をクリアするための鍵です。
これはいわゆる国語の問題で、中学卒業~高校入試レベルの難易度で、他の問題と比べるとそこまで難しくありません。
学校で習ってきたような「作者が文中で主張したかったことはどれか」といった問題が出題されます。
過去の試験と、恐らく今後も毎回3問が出題されるため、ここで確実に得点することが重要になります。

各分野の出題
政治・社会・経済: 海外の事情や、国内では明治時代までの範囲が出題されることがあり、対策は難しいです。
これらはもともと全問は正解できないように作られているため、あまり時間を割く必要はありません。
情報通信:SNSやDNSといったIT用語の説明を答えさせる問題が2~3問出題されます。
若い世代やIT関連の企業で就業経験がある方は有利になる分野です。
行政書士法・その他の法令(個人情報保護法など): 基本的な条文からの出題が多く、対策は比較的容易です。
ただし、個人情報保護法は細かい知識を問われることがあります。
その他、著作権法など関連する問題が出題されることもあります。
総合すると、基礎知識では8~10問の正解を目指すことは充分に可能です。
足切りラインぎりぎりでは試験全体の合格点である180点に届くのも厳しくなるため、1問でも多く正解することが重要です。

基礎知識の効果的な学習方法
基礎知識は、過去の問題が再出題されることはほとんどないため、答えを暗記する必要はありません。
重要なのは出題傾向を把握することです。
また、問題によっては知識がなくても現場思考(常識的に考える)で正解できるものもあります。
特に文章理解は文章が違っても問われる内容が毎回ほぼ同じであるため、行政法や民法などの主要科目の勉強の合間に何度か解いてみることをお勧めします。
過去問でも予想問題でもどちらでも良いと思います。
ポイントは正解するだけでなく、出来る限り素早く解くことです。
問題によっては全文を読まなくても正解できる場合があるため、要点を素早く掴む訓練が有効です。
また、基礎知識は試験問題の中で一番最後の科目として配置されており、文章理解は更にその最後に配置されています。
そして、ここ近年では問題の最初に配置されている基礎法学・憲法の難易度が高いため(意図的にそうしてあると思われます)、一番最後に配置されている文章理解から解くというのも有効なテクニックの一つになります。
文章理解能力の重要性
行政書士試験には受験資格の制限がなく、学歴や年齢に関係なく誰でも挑戦できます。
しかし実質的には、この文章理解を正確に(そしてなるべく速く)解ける能力が、試験適性の基礎と言えるでしょう。
文章理解の能力は、足切りの回避だけでなく、行政書士試験全体の取り組み方に関わってきます。
「長文をなるべく早く読み、その要点を掴む」能力は、行政法の判例問題や記述問題など、すべての問題の学習段階にも影響を及ぼします。
この能力がある人は同じ時間でより多くの問題を解くことができるため、試験に合格するための学習時間に差異が出ることになります。
この点で、行政書士試験は国語力が試される試験とも言えるでしょう。

文章理解が苦手な方へ
文章理解が苦手でも諦める必要はありません。
本番までに十分な対策をすることで十分に克服することができます。
日頃から読書をするなど、意識的に活字に触れることも効果的です。
日頃から日本語にじっくりと向き合うことで行政書士の試験の対策が進むことでしょう。
そして、行政書士として業務を始めると、長文の規約や契約書を読み、また自ら作成することになります。
長文の読解への苦手意識をいかに早く払拭できるかが、試験合格だけでなく、実務でも重要になります。