日本政策金融公庫の融資制度が改変に伴い、創業融資制度が令和6年3月をもって廃止となり、新規開業資金制度の中に統合される形となりました。
新規開業資金制度の対象者は「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」ですが、これが「事業開始後税務申告を2期終えていない方」であれば「通常の新規開業資金制度」+「創業融資枠としての優遇制度」を受けられるという形になります。
概要 | (旧)創業融資制度 | (新)新規開業資金制度 |
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制度の対象者 | 新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
自己資金の用意 | 融資額の10分の1以上(実質は1/3以上) | なし |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金 20年以内 運転資金 7年以内 | 設備資金 20年以内 運転資金 10年以内 |
据置期間 | 2年以内 | 5年以内 |
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方の優遇制度
・無担保・無保証人で融資可能
・利率を0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引下げ
制度の変更点
今回の制度変更により、融資限度額が増えたり、運転資金の返済期間が延長されるなど、基本的に借りる側にとってより有利な制度となりました。
特に自己資金の用意については、今までは融資額の10分の1以上とされていましたが、実質的には1/3以上自己資金があることが求められたと言われています(600万円の融資を受けるためには200万円の自己資金が必要)が、それが制度上としては撤廃されることになりました。
それでも自己資金0円で無条件に借りられるという訳ではなく、ある程度の自己資金の用意はしておいた方が採択される可能性は高まると思います(起業までにどのような準備をしていたかという点はチェックされます)。
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫は株式会社という営利企業の形を取るものの、国が株式の100%を保有しているため、事実上の公的な銀行という存在であり、民間の金融機関での融資が難しい事業者への融資も積極的に行っています。
今回の制度変更によって、より起業者が有利な条件でお金を借りられるようになったのは、起業者を増やしたいという国のメッセージでもあると言うことができます。
積極的にCMなどはしていないため、メガバンクなどに比べても知名度は劣りますが、逆に言うと新規の起業者がメガバンクから融資を受けることはほぼ不可能であり、一般的には日本政策金融公庫からまず融資を受けることが多いのではと思います。
これから起業をしようと思っている方や、起業間もない方で融資を受けるかどうか迷っている方は以下の記事もご参照ください。